権限委譲と責任放棄のさかいめ

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Management
Created
2020/10
弊社は3ヶ月に1度、僕とメンバーで1on1ランチを行なっています。そこでこんな会話が出ました。
 

「権限委譲って難しいですね」

 
社員が2桁になり事業も複数に増え、企業運営の複雑性が増してきました。 すると大なり小なり権限委譲を行いつつ、一人ひとりの役割を明確にして事業成長を目指していく必要が出てきます。
 
少しでも今後の権限委譲が上手くいくために、HeaRで上手くいかなかった原因を分析してみました。 権限委譲に悩まれる方に少しでも役立てれば幸いです。
 
ちなみに書籍「HIGH OUTPUT MANAGEMENT」の一節が好きです。
最後までトコトン、フォローしない権限委譲は〝職務放棄〟だという原則をよく考えておいてほしい。マネジャーがタスクからすっかり足を洗うことなどはできない。
 

失敗その1:期待値調整を誤る

  • 期待値調整の目的は大きく二つ。「動機づけ」「役割(成果)の擦り合わせ」
  • 動機づけ
    • 権限委譲の背景や意図をしっかり伝えることで、該当メンバーに「これは成長機会だ。是非やりたい!」と動機づけする必要がある
    • 避けなければいけないことは、該当メンバーに「権限委譲という名のアウトソース」と思われること。権限委譲されたメンバーに「嫌だな」「大変だな」と思われてしまうと、組織として逆効果。
    • 権限委譲は「成長機会を提供すること」が目的なのに「手が足りなくて困ったので権限を渡す」に置き換えられてしまうと危険。あくまで目的は"メンバーの成長"。
  • 役割・成果の擦り合わせ
    • 具体的に行うことが望ましい。 例えば「年末までに、この機能の数値を△△から◯◯まで引き上げてほしい。且つ★★が活発に行われる組織状態を作ってほしい。目安としては◇◇の頻度で開催されている状態。」
 

失敗その2:成長意欲(知的好奇心)を刺激し続けなかった

個人的に一番重要なポイントかなと思っています。
  • 権限委譲の目的が"成長機会"である以上、委譲されたメンバー側も成長を望んで引き受けている。つまり彼ら彼女らを一段上のステージへと導かなければならない。
  • 「ただ権限委譲して終わり」の状態だと、以下に該当する(再掲)
    • 最後までトコトン、フォローしない権限委譲は〝職務放棄〟だという原則をよく考えておいてほしい。マネジャーがタスクからすっかり足を洗うことなどはできない。
  • メンバーの状態に合わせて、フィードバック(ティーチング/コーチング/ディスカッション etc.)を使い分けることが重要。
    • どのくらいの頻度でフィードバック(ティーチング/コーチング/ディスカッション)を行うかは、該当メンバーの習熟度によって増減させる。メンバーが初めて委譲された仕事をやるのか、それともすでに経験がある仕事なのかによって頻度を変える。また、回数を重ねるごとに習熟度が向上するので、モニタリングの強度はそれに応じて変化。
    • ティーチング/コーチングは具体的に伝えるべき。成長機会の観点から「最近いいね!」よりも「昨日のセールスmtgで議論した際、マーケティング観点から言及した◯◯の意見が良かったです。特に△△の部分に関しては自分も深く考えておらず、聞いた時に『複数の視点で話してる!間違いなくそれだ!』と思いました。自チームの利益(個別最適)のみで語るのではなく他チームとの連携も含めて(全体最適)の意見は、事業部の一体感を生む一つのきっかけになると思うのでこれからも続けてほしい」くらい具体性があると好ましい。
  • 定期的にフィードバックを行うために、Netflix社が行なっているスタート・ストップ・コンティニューも取り入れるのもオススメです。
    • ネットフリックスの経営陣はあの手この手で、正直な姿勢を率先して示した。その一環として、チームミーティングで「スタート・ストップ・コンティニュー」と呼ばれるエクササイズを行った。各人が誰か一人の同僚に対して、始めてほしいことを1つ、やめてほしいことを1つ、とてもうまくやっていて続けてほしいことを1つ伝えるのだ。
  • ネガティブなフィードバックは人目のないところで伝える。また、フィードバックで最も重要なのは、「あなたはぼんやりしている」のような、相手の性格描写ではなく、行動に関するフィードバックをすること。またそれは相手が改善できることでなくてはならない。
 

失敗その3:権限委譲から逆算する採用活動ができていない

  • 上記フィードバックが上手く行えるかは、自身の知識量に依存する部分も一定ある。マーケティングのことに詳しければ当領域のティーチングやディスカッションもできるが、全く知らない場合は適切なフィードバックが難しくなる。
  • すなわち自分の得意な領域から権限委譲する方が適切なフィードバックを行えるため、得意なところほど最初に採用することが重要。メルカリ社小泉さんも同様のことを言っていました。(以下、Twitter引用文)
    • 【得意なところほど最初に採用するのが重要】 ・権限委譲してもパフォーマンスが下がりづらい ・工数かけずにマネジメントしやすい ・メンバーの育成・成長してもらえるスピードも早い メルカリ小泉さんも言ってて、最初にCFOの長澤さんを採用したらしい
  • 自身が知っている領域であるが故、もどかしい気持ちになる場合もあるがグッと抑えることも大事