意識すべきは努力の方向性

 
「PEAK - 超一流になるのは才能か努力か?」を読みました。
 
結論、、、超一流になるためには「努力」が重要。 しかし、”ただ”努力しても超一流にはなれない。”意図的な”努力に切り替える必要がある。 といったお話でした。
 
以下に書籍内で学びになった内容をまとめていきます。 ※ 留意点:当書籍の主対象はビジネスマンではなくスポーツ分野の方々です
対象となる分野がすでに比較的高度に発達していること、つまり最高のプレーヤーが、初心者とは明らかに異なる技能レベルに到達している分野であることだ。例として挙げたのは、(言うまでもなく)楽器の演奏、バレエなどのダンス、チェス、個人および団体スポーツ、とりわけ体操、フィギュアスケート、飛び込みなど選手の個別の技能が評価される種目だ。 では対象にならない分野には何があるのか。たとえば直接的な競争がほとんどないガーデニングなどの趣味の分野、そして今日の雇用市場における仕事のほとんど(企業の管理職、教師、電気技師、技術者、コンサルタント)がそうだ。いずれも優れた技能とは何かという客観的な基準が存在せず、限界的練習に関する知識が蓄積されていない分野である。
個人的には紹介されているエッセンス自体は仕事でも十二分に活かせると思いました。
 

— 「これで十分」の向こう側に広がっている世界

  • ほとんどの人が傑出した身体能力を持っていないのは才能がないためではなく、ホメオスタシスの枠内に安住し、そこから飛び出すのに必要な努力をしようとしないため。つまり、「これで十分」の世界に生きている。
  • 仕事についても同じことが言える。仕事をこなすのに十分なレベルまで学習するが、ひとたびそのレベルに到達してしまうと、「これで十分」の先に進むための努力をすることをしない。

— ただ努力するだけでは業績は伸びない

  • 努力に関するよくある誤解
      1. 努力さえすれば上達するという誤解
          • 優れた管理職になりたければ、努力すればいい。売上を伸ばしたければ、努力しよう。チームワークを良くしたければ、これもまた頑張ろう。しかし現実は、マネジメント、営業、チームワークはいずれも専門的能力であり、それを伸ばすことを念頭にデザインした練習方法を用いなければ、努力してもそれほどの改善は見込めない
      1. 努力を長く継続すれば徐々に上達するという誤解
          • 同じことを同じやり方で繰り返しても上達はしない。むしろ停滞と緩やかな能力低下は避けられない
  • 誰でも能力を伸ばすことはできるが、それには正しい方法が必要である。上達しないのは生まれつき才能がないためではない。正しい方法で練習していないからだ。それさえわかれば、あとは「正しい方法」とは何かを探り当てるだけである。
  • 壁を乗り越えるのに一番良い方法は、別の方向から攻めてみること
    • 一般的に壁を乗り越える方法は「もっと頑張る」ことではなく、「別の方法を試す」こと。テクニック、つまりやり方の問題なのだ。

— 意図的な努力(限界的練習)を行う

翻訳本では「限界的練習」と記されていますが、原書で「Deliberate Practice」と記載されていたので個人的に「意図的な努力」に変換してます。
  1. 意図的な努力はコンフォート・ゾーンの外側で、常に現在の能力をわずかに上回る課題に挑戦しつづけることを求める。このため限界に近い努力が求められ、一般的に楽しくない。
  1. 意図的な努力には明確に定義された具体的な目標がある。漫然と技能全体の向上を目指すものではなく、対象技能のいくつかの側面を向上させることを目標とする。
  1. 意図的な努力では、すでに習得した技能の特定の側面に集中し、それを向上させることでさらなる改善や修正を加えていくことが多い。時間をかけて一歩ずつ改善を積み重ねていくことが、最終的に傑出した技能の獲得につながる。
  1. 意図的な努力は、すでに他の人々によって正しいやり方が明らかにされ、効果的な訓練方法が確立された技能を伸ばすためのものである。
  1. 意図的な努力は意識的に行う。つまり学習者には全神経を集中し、意識的に活動に取り組むことが求められる。
  1. 意図的な努力にはフィードバックが必要だ。トレーニングの初期にはフィードバックの大部分は教師やコーチが提供する。練習時間と経験が増えるに伴い、学習者は自らを評価し、失敗に気づき、必要な調整を行う方法を身につけなければならない。このような自己評価を実践するには、有効な心的イメージ(後述)が必要である

— 心的イメージを磨きあげる

※ 原書では「Mental Representations」 ※ 伝わりやすい訳を考えたが浮かばなかったので「心的イメージ」のまま紹介
  • 「超一流」と「普通の人」との違いは、心的イメージの質と量である
  • 心的イメージとは脳が考えているモノ(事実、概念、ルールなどの情報)がパターンとして長期記憶に保持されたものであり、具体的あるいは抽象的なモノに対応する思考構造のことである。
    • 書籍内で心的イメージの例として「犬」が挙げられていた
    • 心的イメージの込み入った例が「言葉」だ。たとえば「犬」である。 あなたが「犬」という言葉を聞いたことがなく、またそんな動物は見たこともないとしよう。すると「犬」という概念を示されても、最初は無関係なデータの集まりに過ぎず、「犬」という言葉はあなたにとってまるで意味を為さないはずだ。 だが犬のいる環境に身をおき、徐々にそれがどんなものか分かってくると、こうした情報が統合されて「犬」という言葉が一つのまとまった概念を示すようになる。 そうなると「犬」という言葉を聞いたとき、記憶を探って犬に関する細々とした特徴を集めてこなくても、すべての情報に瞬時にアクセスできる。「犬」という言葉があなたの語彙だけでなく、心的イメージの蓄積にも追加されたわけだ。
  • 心的イメージの最大のメリットは情報処理に役立つこと。すなわち情報を理解し、解釈し、記憶に保持し、整理し、分析し、それを使って意思決定をするのを助けてくれることだ
  • エキスパートと凡人を隔てる最大の要素は、エキスパートは長年にわたる練習によって脳の神経回路が変わり、きわめて精緻な心的イメージが形成されていることで、ずば抜けた記憶、パターン認識、問題解決などそれぞれの専門分野で圧倒的技能を発揮するのに必要な高度な能力が実現する。
  • たいていの分野における傑出したプレーヤーの特徴とは、心的イメージがそれほど成熟していない人には何の意味もなさない、あるいは戸惑うようなモノの集合の中にパターンを見いだす能力である
  • スキルを磨くことが心的イメージを磨き、優れた心的イメージがスキルの向上をさらに後押しする。それは、階段を作りながら上がっていくようなもの、とも言える。階段を一段上がるたびに、次の段を作ることになる。それを作ると、さらにまた次を作る、そんな具合に続いていく。既存の心的イメージがパフォーマンスの指針となり、自分のパフォーマンスをモニタリングして評価することを可能にする。新たな能力を身につける、あるいは既存の能力に磨きをかけるなど新しいことができるよう努力するのは、心的イメージを充実させ、鮮明にしていくことでもあり、それによって以前はできなかったことができるようになるのだ。

— 意図的な努力を有意義にするために

  • 同じ課題を徹底的に繰り返す
    • 意図的な努力の最大の特徴は、できないこと、すなわちコンフォート・ゾーンの外側で努力することであり、しかも自分が具体的にどうやっているか、どこが弱点なのか、どうすれば上達できるかに意識を集中しながら何度も何度も練習を繰り返すことである
  • 指導者が見つからないときは三つの「F」が重要
    • 先生がいなくても効果的に技能を高めるには、三つの「F」を心がけるといい。フォーカス(集中)、フィードバック、フィックス(問いを見直す)である。スキルを構成要素で分解し、分析し、弱みを見つけ、それを直す方法を考えよう
    • シミュレーター訓練を確立するのも良い
      • 事業計画やシミュレーションシートと照らし合わせながら、フィードバックの仕組みを形成する
  • 一回の練習時間は短い方がいい
    • 練習時間を一時間程度で区切ることだ。それより長くなると完全な集中を維持することはできなくなる。練習を始めたばかりなら、集中できる時間はもっと短くなるだろう。一時間以上練習したければ、一時間やったら休憩を入れるようにしよう
  • 何が上達の足を引っ張っているのか特定する
    • いつ、どんなミスをしてしまうのか。最初に綻びが生じるのはどこか見極めよう。それからその弱点の改善に特化した練習方法を考えよう。何が問題かがわかれば、自分で直せるかもしれないし、経験豊富なコーチや教師のアドバイスを求める必要が生じるかもしれない。いずれにせよ自分の練習中に何が起きているか、しっかり観察しよう
    • この手法が効果的なのは、なんとか上手い方法が見つかるのを期待しながらさまざまな手を試すのではなく、上達を阻んでいる具体的な問題に的を絞って改善するからだ
  • 誘惑にかられるリスクを抑える
    • モチベーションを維持できるかは、二つの要素にかかっている。「続ける理由」と「やめる理由」だ。やりたいと思っていたことをやめてしまうのは、やめる理由が続ける理由に勝ってしまったからだ。つまり意欲を維持するには、継続する理由を強くするかやめる理由を弱くすればいい。意欲の維持に成功したケースには、たいてい両方の要素が含まれている。
    • 最も有効な方法の一つは決まった練習時間を設け、他の仕事や注意散漫になる要素をすべて排除することだ。あらゆる条件に恵まれているときでも練習しようと自らを奮い立たせるのは大変だが、他にやるべきことややりたいことがあると、口実を見つけてそちらに逃げてしまう誘惑と常に戦わなければならない。その頻度が高まると練習は徐々に減っていき、トレーニング計画自体が死のスパイラルに陥ってしまう
  • どれだけ知識があっても技能がなければ意味がない
    • 任務を遂行するにはそれなりの知識も必要だが、最終的にモノを言うのは「何を知っているか」ではなく「何ができるか」だ。
    • 従来型の努力は、きまって知識面に主眼を置いていた。それとは対照的に、意図的な努力の主眼は技能とその改善にある。
  • 「天才」の練習時間は抜きん出ていた
    • 練習に膨大な時間を費やさなければ、並外れた能力は手に入らない
 

— 最後に

成果=「努力量」×「努力の方向性」だと考えています。 努力量をさらに増やしつつ、努力の方向性を定点観測していきます。
自分が”いま”伸ばすべきスキルや心的イメージが3つほど思い浮かびました。 HeaRを大きくするために、ただ頑張るのではなく、1日1日意図的な努力を行なっていきます。