HeaRは抜擢が足りてなかった

これまで自分が「エイヤ!(直感)」で行ってきた抜擢を言語化→仕組み化する必要があると思い、書籍「サイバーエージェント式 人が育つ『抜擢メソッド』」を読みました。
 
具体的には
  • 抜擢するまでの手順はどうすべきか?
  • どんな人材を抜擢すべきか?
をインストールすることを目的に読み始めました。
 
本の冒頭で、企業が抱える「抜擢問題」として以下の3つを紹介。
  1. 抜擢をそもそもおこなっていない「ゼロ抜擢」
  1. 抜擢(人とポジション)が足りていない「抜擢不足」
  1. 抜擢の考え方とやり方が間違っている「抜擢エラー」
 
読み進めていくうちに抜擢や人材育成の考え方がアップデートされました。 自分のなかで学びになった内容を抜粋しながら紹介していきます。
 

1. まず抜擢する

多くの企業が教育→抜擢の順番で人材育成を考えますが、サイバーエージェント社は抜擢→教育の順番です。抜擢することで当人の決断経験が増加→成長→さらなる抜擢の好循環を作り出しているわけですね。
ほとんどの企業は教育が先だと考え、教育という名のもとに研修をしますが、その後に抜擢を行うことは、ほとんどないでしょう。これは企業が「育てる」スタンスです。 それよりも、まず抜擢する。 つまり、 先に「抜擢」があるのです。いわば若手が自力で「育つ」スタンスです。 「誰かをマネジャーに抜擢すると、その人はマネジャーの仕事を一生懸命やるようになり、結果として人が育つ。だから(経営は)『人が育つ環境』をつくらなきゃダメだ」 藤田はこのように話しては、「人が育つ環境をつくろう」 といつも私に話しています。
 
どれくらいの割合の社員を抜擢しているのか気になっていたら以下の文が目に入りました。
能力や経験、適性に関係なくどんどん抜擢すべきであるということは、すでに述べたとおりです。役割などは小さくてもいいので全員抜擢が原則です
HeaRは役割の大小あれど、全社員を抜擢できているわけではありません。 能力や経験に関係なく、全員抜擢。どんどん役割を渡していこうと思います。
抜擢の見える化を目的に、当書籍では「抜擢リスト」の作成を勧めております。 項目は以下です(さっそく作ってみました)
  • メンバー名
  • キャリア(入社歴・契約形態)
  • 抜擢内容 / (まだの場合)抜擢するなら
  • 期日
  • メモ
 
 

2. 抜擢のルールは期待→宣言→承認

抜擢も闇雲に行えばいいわけではありません。 基本ルールは期待→宣言→承認です。
 
  1. 期待を伝える:「期待をかけている」ことを相手に示す
  1. 宣言してもらう:本人がそのことに対し「やります!」「やりたいです!」と意思表明する
  1. 承認する:「OK、任せます!」と承認し、応援する
 
以下がサイバーエージェント社の曽山さんが人事本部長になる際のエピソードです。 しっかり期待→宣言→承認のプロセスを踏んでいます。
「人事を強化したいから、人事本部を設置することにした。(目的・意味づけ) 曽山くんに人事本部長になってほしいんだけど、どうかな?(期待)」 この藤田の言葉に、私はまず「ぜひ、やらせてください!」と即答(宣言)しました。 とはいえ、今、営業部の責任者として自分が手がけている仕事から離れてしまっていいものかと思い、「営業部が心配です」と藤田に伝えました。 すると、藤田は次のように返したのです。「それは心配だけど、でも人事をもっと強化してもらうほうがいいんだよね」 この抜擢セリフは、今でもはっきり覚えています。
 
この部分を読むまでは 「抜擢には本人の強い意思が必要だ。だから自分から言い出すまで抜擢しないぞ。」 と考えていました。
しかし当書籍では、上役の人間がメンバーに期待をかけるところから始まっています。 思い返すと、強い意思を持つ社内メンバーにも「僕の右腕になってください」「あなたは事業責任者になるべきだと思います」「僕の近くで仕事してくれたら嬉しいな」と期待をかけていたことを思い出しました。
 
自分の一言が強い意思や宣言にどれほどの影響を与えたのかは分かりかねますが、強い意思を持つ(宣言してもらう)ことを引き出す行為(期待を伝える)は重要だと思いました。
 

3. 抜擢は適材適所ではなく適所適材

人材育成の目的は、成果をあげること。 事業成長が目的で、人材育成は手段です。人材育成が目的化してしまってはいけません。
 
成果を上げるための方程式が紹介されています。
本人の強み×伸びる仕事=大きな成果
抜擢は本人の強みありきで考えられがちですが「伸びる仕事(ポスト・役割)」も重要な要素です。人ありきで抜擢を考えすぎてしまうと「(今ある)伸びないポスト・役割に人を配置してしまう」リスクが生じます。
 
「イシューからはじめよ」のイシュー度と解の質の関係に近しい考え方だなと思いました。
 
抜擢は適材適所ではなく"適所適材"で考える方が上手くいきます。 まずは事業部やチームの課題、あるいは目標達成のために必要な要素を整理する。 そのポスト(イシュー)に合う人材を抜擢する、といった具合です。
 
サイバーエージェント社は「ポスチョイ」という名のもとで、適所適材の抜擢を行っているようです。
私たちは「抜擢は足りているか」を常に気にしていますが、人の成長だけに気を取られてしまうと、会社の成長・成果がおろそかになってしまうおそれもあります。それでは本末転倒なので、とにかく経営インパクトのあるポジションはどこか、サイバーエージェントにとって重要なポジションはどこかという視点で抜擢をおこなうのが「ポスチョイ」です。
 
このエピソードを受けて、抜擢リストをつくりました。 事業部や機能ごとにポスト(抜擢内容)を整理することで、伸びる仕事を判断しやすくなります。
 
HeaRは抜擢が足りていませんでした。 これから"全員抜擢"に向けて動いていきます。
 
しかし、全員抜擢をしてもポスト(伸びる仕事)が埋まりません。 それほどHeaRは面白い仕事がゴロゴロ転がっております。 新規事業も始まります。既存事業もアップデート中です。
 
少しでもHeaRに興味を持ってくださった方、カジュアル面談お待ちしております!