メタバースを学んでみた
Meta(超)とUniverse(世界)を組み合わせた造語、Metaverse(メタバース)
メタバースへのアクセス手段であるVRを初めて触ったのは大学3年生。
営業代行会社のインターン生としてVRを販売してました。
「ジェットコースターに乗ってる気分を体験しませんか?」と営業すると、大半のお客さんが乗り物酔いしたことを思い出します。
社会人1年目の頃にプログラミングスクールでUnityを学び、シューティングゲームを作りました。
3Dゲームを作れた自分に感動を覚えました。(その後は一切触っていないですが)
そして最近はMeta社が販売しているMeta Quest2を購入して遊んでいます。
解像度の向上に伴い、没入感が劇的に上がりました。
メタバースを学ぼうと思ったのは、とある一節が目に入ったからです。
「子どもの遊び方」は「未来のあり方」 15歳以下の子どもがどんな遊び方をしているかによって、その後に社会でどんなテクノロジーが普及してくるかを高い確率で予測することができます。つまり、現代の子どもたちの遊び方を観察した上で、自分の世代と違うところを探せばよいのです。そこで使われている新しいテクノロジーこそが次の時代に普及するテクノロジーである可能性が高い。
最近、街を歩いていたら子ども向けの催し物が行われていました。
屋台や駄菓子屋、おもちゃ屋などが並んでいるところに「VR体験ショップ」がありました。
自分が子どもの頃には間違いなく無かったものです。
これからの社会はVRやメタバースが当たり前になっていくのでしょうか。
新しいトレンドが勃興した時、自分はどの位置にいたいのか。
少なくとも「VR?メタバース?あれは若い人向けの娯楽だからインプットしてない。どうせ一過性のトレンドで終わるよ。」と斜に構えた態度を取りたくないと思い、自ら学んでみることにしました。
新しいテーマを学ぶ際は、一気に複数冊の書籍を読むタイプです。
以下の3冊を購入しました。どれも学びだらけだったので、備忘録としてまとめてみようと思います。
— 興味深いデータ・エピソード
- ユーザーの8割が女性型アバター
「最もよく使うアバターの外見上の性別を教えてください」と聞いたところ、「中の人」の物理性別に関係なく、物理男女共に8割弱が女性型アバターを使っているという圧倒的な偏りが判明しました。物理男性が女性アバターをつかっている理由としては、「可愛くなりたい」「感情表現をしたい」「相手と距離を縮めたい」が中心。
- メタバース内での恋愛が当たり前
ソーシャルVRの住民にとってメタバース内で恋愛することはもはや当たり前のことになりつつあり、実に40%が「恋をしたことがある」と回答していました。さらに、相手に惹かれるきっかけは「相手の性格」が64%、「相手の性別は重要でない」が75%など、メタバースならではの全く新しい関係性が生まれています。
- VR睡眠で毎日が修学旅行
ソーシャルVRでは、VRゴーグルを被ったままみんなで仮想空間の部屋に集まって眠る「VR睡眠」という文化があります。信じられないと思いますが、メタバース原住民の間では割とメジャーな行為の一つです。 特に寝る前にみんなで話ができること、睡眠中に他の人の可愛い寝息が聞こえてくること、そして起きたときに他の人の可愛い寝顔が見れることが嬉しいとよく聞きます。
— メタバースの要件
メタバース=以下7つの要件を満たすオンラインの仮想空間と定義
- 空間性 三次元の空間の広がりのある世界
- 自己同一性 自分のアイデンティティを投影した唯一無二の自由なアバターの姿で存在できる世界
- 大規模同時接続性 大量のユーザーがリアルタイムに同じ場所に集まることのできる世界
- 創造性 プラットフォームによりコンテンツが提供されるだけではなく、ユーザー自身が自由にコンテンツを持ち込んだり創造できる世界
- 経済性 ユーザー同士でコンテンツ・サービス・お金を交換でき、現実と同じように経済活動をして暮らしていける世界
- アクセス性 スマートフォン・PC・AR/VRなど、目的に応じて最適なアクセス手段を選ぶことができ、物理現実と仮想現実が垣根なくつながる世界
- 没入性 アクセス手段の一つとしてAR/VRなどの没入手段が用意されており、まるで実際にその世界にいるかのような没入感のある充実した体験ができる世界
— メタバースがもたらす3つの革命
- アイデンティティの革命
これまでは自己の「アイデンティティ」とは、基本的に与えられた固定のものを「受け入れる」ものでしたが、メタバースでは自由に「デザインする」ものに変化し、「なりたい自分」として生活することが可能になった。
- コミュニケーションの革命
社会的な側面から言えば、物理的な距離に関係なく他者とつながることができ、両者の間にアバターをはじめとしたさまざまなフィルターを介在させることができます。
- 経済の革命
メタバースが引き起こす経済の革命には「分人経済」「超空間経済」という二つの側面があり、これまでの経済をミクロ・マクロ両面で大きく拡張します。ミクロな面に注目すれば、人間の心のさまざまな側面「分人」による多面的な経済活動「分人経済」が生まれます。マクロな面に焦点を当てれば、空間自体を自由自在にデザインすることで地球という物理的な枠組みから解き放たれた「超空間経済」が生まれます。
— メタバースの課題
前述したメタバースの7つの要件にもまだまだ課題があるそうです
- 「大規模同時接続性」が高くない
非常にリッチな映像表現力の代償として、同じワールドに一度に集まれる人数には制限があり、一箇所に大人数集まる巨大イベントをやるのには不向き。
- 「自己同一性」「創造性」の課題
コンテンツの制作やアップロードにはUnityというゲーム開発ツールをインストールして使いこなす必要があり、ライトユーザーお断りの世界になっているケースが多い
- 「経済性」の課題
多くのサービスに決済の仕組みが存在しません。いざ実際にVR内でアイテムやサービスを購入しようとするとブラウザでWebサイトが開くだけで、VRゴーグルを脱いでパソコンで決済操作をするという非常に残念なことになっています。
— メタバースの盛り上がりで生まれる職業
メタバース経済が本格化する初期段階では、以下の三つの職業分野が伸びるとのこと
- 3Dクリエイター
絵師・漫画家・デザイナー・イラストレーター・CGクリエイターなどはこれまで趣味としてSNSに作品をアップするなどしていましたが、YouTuberのようにそれらが爆発的な収入に直結するというほどではありませんでした。今後はメタバースによって3Dデータの需要が増加しますし、NFTによってデジタル作品に数千万円の価値がつくということも増えていきそうです。
- イベンター
現実世界のタレントや芸人がそのままメタバースに入ってくることも当然考えられます。しかし、メタバースならではのイベントの盛り上げ方や演出を熟知したVTuberやパフォーマー、高いダンステクニックや感情表現ができるモーションアクターなどは、一般社会にも広く名前の知られる、新時代の有名人になるでしょう。
- 接客業
HTC VIVEがVRChatで行っている「VIVE Wonderland」というワールドでは、最新のVR機材などの実寸大3Dモデルを展示しています。そこに常駐する一般のお客さんに対する説明スタッフとして、アバターの姿で働くことができるのです。時給制になっており、ちゃんとアルバイト代がもらえるようになっています。
— メタバース×ビジネスを考える
- 個人に浸透され始めて3-5年後に企業に導入される
新しいテクノロジーは「個人」に浸透し始めたあと3~5年遅れてようやく「企業」でも活用され始めて、さらにそこから3~5年遅れて「行政」に導入される というタイムラインになる傾向があります
- メタバースは「ゲーム」こそが入り口
この30年間、インターネット業界においてニュースやSNSがサービスの「入り口」であり、ゲームはマネタイズのための「ゴール」でした。 無料で読めるニュースやSNSでお客さんを大勢集めたあと、その人たちをゲームに誘導していく。ゲーム自体は無料でできるようにし、オプションにその都度課金していく。「ゲームはユーザーにお金を落としてもらう場所」というのが共通認識でした。つまり「ゲームはお金を落として消費してもらうゴールであって、それ以上に広がりはしない」と。 メタバースにおいては、ゲームが「入り口」であり、その他のコミュニケーションやビジネスはゲームを入り口にして、あとから派生していきます。従来の流れとは真逆のベクトルなのです。『Fortnite』の中ではデジタルスキン(アバターと呼ばれる自分の分身に着せる服)を毎年約5,500億円売り上げています。これはグッチなどのラグジュアリーブランドと変わらない規模です。 メタバースにおけるゲームは、あくまでも入り口にすぎません。その入り口から先に、友達とのおしゃべりもあれば、ショッピングもライブイベントもあります。多くの人が集まって日常会話が弾み、さまざまな日常を楽しむ新しい世界です。
- 独自データの取得を設計する
Web3.0時代に考えなければならないのは「フェイスブックもグーグルもアマゾンも取れていない重要なデータは何か? そしてそれを吐き出させるインセンティブは何か?」という二つの問いに答えられるかどうかです。これを実現する上でブロックチェーンを活用したトークンエコノミーによる新しいインセンティブの形がたいへん重要になってくる。 これから重要なのはWeb3.0時代のメルカリはどうなる、LINEはどうなる、Slackはどうなる、金融はどうなる、人材ビジネスはどうなる、コマースはどうなる、コミュニケーションはどうなる……それを考えればいい。
— 終わりに
メタバースを学び始めて2-3週間。
HeaRの事業とどのように結びつけられるかは引き続き探索していきます。
しばらくは週2-3時間はMeta Quest2で遊べると良いなあ。