戦略を言語化する

先日メンバーの1人と「戦略と戦術の違いは何か?」について話す機会がありました。
経営戦略、事業戦略、採用戦略、組織戦略…など「戦略」を練るシーンは多々あります。 そこで「戦略とは何か?」を言語化することで、戦略策定の精度を高めていこうと思います。
 

戦略と戦術の違い


  • 戦略=目標を"最速で"達成するためのリソース配分
    • 「何をする」「何をしない」を決めること
      • 例:ARR10億円に向けて、何をして・何をしなければ最速でたどり着くのか
      • 例:受注率を20%にするために、何をして・何をしなければ最速でたどり着くのか
  • 戦術 = 「何をする」の時間対効果・費用対効果の最大化
 
 

リソース配分の考え方


リソース配分の対象および配分方法
  • リソース配分の対象
      1. 市場/顧客
      1. プロダクト
      1. グロース
      1. オペレーション
      1. 採用
      1. 組織
      1. カネ
  • リソース配分方法
      1. 増やす
          • 例:A事業の営業メンバーを増やす
          • 例:B施策の投資額を増やす
          • 例:C施策を加える
      1. 減らす(無くす)
          • 例:H事業のエンジニアを減らす(伸びてる事業に移動)
          • 例:E施策の予算を減らす
          • 例:R施策を無くす
      1. 変える(入れ替える)
          • 例:X施策のターゲットを変える
          • 例:Y事業の責任者を入れ替える
          • 例:Zのオペレーションを変える
 
 

悪い戦略とは


書籍「良い戦略・悪い戦略」も参考に、悪い戦略とは何かを記述
  1. 空疎である(内容がない) 例:イノベーティブなプロダクトを開発し、社会にインパクトを与える
  1. 重大な問題に取り組まない 例:受注率が減少傾向であるのに、その問題に直視しない
  1. 目標と戦略を取り違えている 例:今期の戦略は売上を2倍にすることだ!は戦略ではなく目標
  1. 実行に無理がある 例:(365日営業すれば)この戦略は達成できる!
  1. オーナーが不在 例:誰がリスクを負って決断しているのか分からない(報連相先が分からない)
  1. リソース配分が分散 例:施策Aと施策Bと施策Cに同額の投資が行われている
  1. 行動が従来通り 例:戦略変更が変わったけど、施策が変わらない
 
 

机上の戦略では100%勝てるまで練り上げる


書籍「戦略質問」で机上の空論に対する言及が印象深かった
机上で勝てない戦略が、実行で勝てるというのは非論理的である。 たとえ勝てたとしても、それは運頼みと言えないだろうか。 少なくとも論理的には勝てるものであったならば、最初から運任せにやるよりはるかに勝算はある。だから「机上」では100%勝てるプランをつくる。
「机上では100%勝てる」、まずそれがある。 そしてそれを実行に移す。実行してみると、想定外のことが起こる。 その対応をしながら進めていく。戦略立案のときには想定していなかった事実が判明する。 戦略そのものに修正が必要なのか、それとも対応策を施して進むかを考える。
試合前に監督が選手を送り出すときにいう言葉は「ゲームプラン通りやってくれればいい。(もしゲームプラン通りやって)負ければそれは自分(監督)の責任」というものである。 つまり戦略の責任は監督、戦略通りやったかの責任は選手、という考え方になる。 その試合に負けたとすれば、敗因はゲームプランが間違っていたのか、それともゲームプラン通りにできなかったからなのかを分析する。
 
 

戦略=doing different things , 戦略≠doing things better


  • 戦略や戦術は「行動量を2倍に増やす。気合い。」ではなく、競合との「違い」をつくること
  • 事業における違い
    • 市場/顧客(ポジショニング)
    • プロダクト
    • グロース
    • オペレーション
    • カネ
  • 組織における違い=組織に定着しているルーティーン
    • 模倣が難しいルーティーンを構築すると違いをつくりやすい
      • 「他者が簡単には真似できず(真似しようと思っても大きなコストがかかる)、市場でも容易には買えない」ものが好ましい
    • ルーティーン=仕事のやり方、進め方が該当する
  • 「違い」は時間が経つとコモディティ化するので、絶えず更新する必要がある
  • 「違い」をつくることを目的化しない。大上段の目的は顧客への価値提供である
 
 

人に話したくなるような戦略をつくる


  • 戦略で意識すべきは「話せる化」
  • 策定ステップは「違いをつくる」→「つなげる」→「ストーリーをつくる」
    • 個別の違いをバラバラに打ち出すだけでは強固な戦略にならない
    • 違いがつながり、相互作用すると、長期利益が実現されやすい
  • 優れたストーリーは一貫性がある(以下3要素が構成要素)
      1. 強さ(因果関係の蓋然性が高い)
          • 例:量産するとコストが下がる規模の経済
      1. 太さ(一石◯鳥)
          • 例:1機能で3つのマネタイズポイントを創出
      1. 長さ(時間軸×ストーリーの拡張性や発展性 / 繰り返しが効く)
          • 例:データが溜まってきたらXXXを展開可能
 
 

参照書籍