良い戦略・悪い戦略
サイバーエージェント社藤田さんの言葉に大変胸を打たれました。
「事業責任者や経営者の戦略ミスですべての努力が無駄になる」
リーダーたるもの、メンバーの努力を成果に結びつける必要があります。
書籍「良い戦略、悪い戦略」を読んでみたので、その学びを書き残します。
悪い戦略とは
悪い戦略には以下4つの特徴が含まれているケースが多いとのこと。
- 空疎である 戦略構想を語っているように見えるが内容がないもの 例:イノベーティブなプロダクトを開発し、社会にインパクトを与える
- 重大な問題に取り組まない 企業の重大な問題を見ないふりするか、軽度あるいは一時的といった誤った定義をしてしまう 例:受注率が減少傾向であるのに、その問題に直視しない
- 目標を戦略と取り違えている 問題解決の道筋を示さずに、単に願望や希望的観測を語っている 例:「今期の戦略は売上を2倍にすることだ!」は戦略ではなく目標
- 間違った戦略目標を掲げている 戦略目標とは、戦略を実現する手段として設定されるべきもの。重大な問題とは無関係だったり、単純に実行不能だったりすれば間違った目標と言わざるを得えません。 例:「我々の戦略目標は、勝つまでやる!」
悪い戦略が生まれる理由
- 分析や論理の選択を一切行わない 面倒な作業はやらずに済ませたい、調査や分析などしなくても戦略は立てられるという安易な願望があるが故、企業の問題を特定できずに戦略を作ってしまいがちです。
- 穴埋め式テンプレートの普及 空欄にビジョンやミッションや戦略を書き込んでいく、あれですね。このやり方では「自社が直面する状況を見極め、どう対処するか考える」という作業をせず、手順に従っているうちにお手軽に「戦略」が出来上がってしまいます。
- ポジティブ・シンキング 端的に言えば「信じれば思いは叶う!!!」といった考え方です。
良い戦略とは(書籍の抜粋)
書籍のなかで「良い戦略とは◯◯である」と色々言及していたので、特に刺さった部分をピックアップします。
戦略とは仮説である。 良い戦略とは、こうすればうまくいくはずだ、という仮説である。理論的裏づけはないが、知識と知恵に裏づけられた判断に基づいている。
戦略策定の肝は、直面する状況の中から死活的に重要な要素を見つける。そしてそこに経営資源、すなわちヒト、モノ、カネそして行動を集中させる方法を考えること。となれば当然、たくさんある課題の中から選びとる作業が必要になる。どれかを選んで残りは捨てなければならない。この困難な作業をやらずに済ませようとすると、ごった煮な戦略ができあがってしまう。
良い戦略とは最も効果の上がるところに持てる力を集中投下することに尽きる。短期的には、手持ちのリソースを活かして問題に対処するとか、競争相手に対抗するといった戦略がとられることが多いだろう。そして長期的には、計画的なリソース配分や能力開発によって将来の問題や競争に備える戦略が重要になる。
良い戦略には、とるべき行動の指針がすでに含まれている。細かい実行手順が示されているわけではないが、やるべきことが明確になっている。「いま何をすべきか」がはっきりと実現可能な形で示されていない戦略は、欠陥品と言わざるを得えない。
戦略の基本は、相手の最も弱いところにこちらの最大の強みをぶつけること。戦略を考えるときは常に競争を考慮しなければならない。勝ち組の行動に注目するだけでは、全体の半分しか見たことにはならない。大勝ちする企業があるときには、必ず競争に参加できないか、負けを喫する企業が存在する。
良い戦略をつくるための3ステップ
良い戦略を作るためには以下の3ステップを踏みましょう、と筆者は言っています。
- 診断 状況を診断し、取り組むべき課題を見極めること。的確な診断は、単なる状況説明では終わらず、どのような行動が必要なのかを自ずと示すことができる。
- 基本方針 診断で見つかった課題にどう取り組むか、大きな方向性と総合的な方針を示す。 良い基本方針は、埋もれていた強みを引き出し、あるいは新たな優位性の源泉を開発して難局を打開する。いやむしろ、こうした優位性を見つけることこそが戦略の要諦と言えよう。
- 行動 基本方針を実行するために設計された一貫性のある一連の行動のこと。リーダーが戦略実行に使える強力な手段の一つは、近い目標を定めること。近い目標とは、手の届く距離にあって十分に実現可能な目標を意味する。絶えず変化する先行き不透明な状況では、むしろより近い戦略目標を定めなければならない。目標は将来予測に基づいて立てるものだが、将来が不確実であるほど、遠くを見通すよりも「足場を固めて選択肢を増やす」ことが重要。