ジョブテストに辿り着くまでの1ヶ月
2月中旬にスキルテストSaaS「ジョブテスト」をリリースしました。
事前登録を開始した1月中旬以降、約1ヶ月間で120社近くから問い合わせをいただきました。
市場や顧客の反応から、当市場の未来が明るいと確信しております。
今回はジョブテストに辿りつくまでの紆余曲折を話したいと思います。
実は2022年は、別のサービスで伸ばしていく予定でした。
しかし昨年の冬にピボットしてジョブテストに至っています。
- HR業界で事業開発経験を積みたい方
- 採用面接のジャッジを自動化するジョブテストに興味のある方
- HeaRの事業づくりに興味のある方
に読んでいただければ幸いです。
【目次】
- 副業マネジメントSaaSをリリースした2021年の秋
- 事業立ち上げ時の3つの反省点
- ジョブテストに辿り着くまでの1ヶ月間
1. 副業マネジメントSaaSをリリースした2021年の秋
実際のプレスリリースを見てもらった方が早いと思います。
HeaRは2022年、副業マネジメントSaaSで勝負するつもりでした。
コロナウイルスの影響で人件費削減が喫緊の課題になった企業が増えました。
従業員の生活を維持するために副業解禁する企業が増えました。
旅行需要の急激な落ち込みで臨時休業を余儀なくされている旅行会社では、社員の生活を維持するため副業の解禁に踏み切るなど対応に追われています。 社員には休業手当を支払うことにしていますが、今後、営業が再開できる見通しが立たないうえに、休業手当だけでは社員の生活が十分に維持できないとして、副業の解禁に踏み切りました。
しかし
- パソコンに触れる機会がなかった従業員が、副業に就けるのだろうか?
- 副業解禁したものの、全従業員の1-2%しか副業に就けていない…
- 従業員の副業先や労働時間を把握したい
といった課題も同時に発生していました。
副業にまつわる課題を包括的に解決するため、副業マネジメントSaaS「シゴトレ」をリリース。
・副業人材を送り出す企業
・副業人材を受け入れる企業
の両者にプロダクトを提供いたします。
リリースから1週間。
問い合わせは10件を切っていました。
これまでリリースしてきたサービスで初速が最も遅かったこともあり他事業を検討し始めました。
【スケジュール感】
- 10/15:副業マネジメントSaaS「シゴトレ」をリリース
- 10/20の昼:サービス業界向けのプレスリリースを公開
- 10/20の昼過ぎ:数値が伸びず、PMF戦略変更も視野にプランBを考え始める
- サービス業界向けの戦略よりも良いアイデアが出たタイミングで比較検討しようと決意
- 10/21:並行してリサーチ業務開始
- 10/29:全社共有
2. 事業立ち上げ時の3つの反省点
2-1. 課題の解像度が低い状態でスタートしてしまった
- 自分自身が副業経験なし+HeaRが副業を数名しか受け入れていなかったため、副業に対する解像度が低い状態
- 解像度が低いと、取り組む課題がインターネット記事や書籍に記載されているものになりがち
- 解像度が低いと、10Xなソリューションを発明しづらい(以下、Zero to Oneの一節)
10倍優れたものを作るには、まったく新しい何かを発明するのが一番だ。それまでまったく何もなかったところで価値あるものを作れば、価値の増加は理論的には無限大となる。 または、既存のソリューションを劇的に改善してもいい。10倍の改善ができれば、競争から抜け出せる。たとえば、ペイパルはイーベイでの取引を少なくとも10倍は改善した。小切手を送れば7日から10日はかかるところを、ペイパルは買い手がオークション終了後直ちに支払いができるようにした。
2-2. 事業成長までのステップが複雑なものを選んでしまった
- 両面のビジネスはPFF(プロダクト・ファウンダー・フィット)しない事業だった
- これまでHeaRが伸ばしてきた事業はビジネスモデルがシンプルであった
- 法人向け:採用コンサルティング
- 個人向け:パーソナルキャリアトレーニング「シゴトレ」
- 両面のマッチングサービス「タメスワーク」も初速が悪かった
- 現時点で事業を立ち上げるメンバーは自分しかいないため、自身が得意な事業からスタートする方が良かった
- (宣伝)事業立ち上げに興味のある方、カジュアルにお話しましょう!
https://meety.net/matches/WLHSCfEbirta
2-3. 10年後にも続くトレンドを選ぶべきだった
- 事業をつくるうえで「Why Now?(変化率)」を意識している
- 環境変化から生まれたバーニングニーズを捉えると事業は伸びやすいと思っている
- 例:PC→スマートフォンの変化でスマホアプリを開発した会社が伸びた
- 例:DX化の加速で電子契約サービスが伸びた
- 副業マネジメントSaaSではコロナウイルス周辺の環境変化に注目した
- サービス業界の経済停滞
- 副業解禁の加速
- スキル不足が故に副業したくても就業先が見つからない人の増加
- コロナウイルスはインフルエンザと同様に10年後も存在している可能性はあるが、10年間も同じ緊急度で語られる可能性は低い
- すると今回狙っていた課題がバーニングニーズじゃなくなる可能性が高くなる
3. ジョブテストに辿り着くまでの1ヶ月間
3-1. やること/やらないこと決めた
まずはスコープを広げるために、最低限のことだけ決めて次のステップに移りました。
- 「青春の大人を増やす」と結びつく事業
- メインユーザーと支払い者が同一のサービスであるSaaS
- メディア事業はメインユーザー(読者)と支払い者(広告主)が異なる
- 10年続くトレンド(DX化)に紐づく事業
3-2. ひたすらリサーチ
まずはインプット量を増やすため、国内外のサービスを調べることから始めました。
弊社には「01_history」というslackチャンネルがあり、各人が気になったニュースや記事を共有しています。
そのなかで目に留まったのがTestGorillaさんです。
ジョブテストに近しいサービスとしてTestGorillaさんを紹介することが多いのですが、同サービスは副業マネジメントSaaSをリリースする前から知っていました。
オランダのHRテックスタートアップのTestGorilla(テストゴリラ)が、短いスキルベースのテストで人材を採用する方法を生み出した。同社によれば、9カ月後にはNHS(英国国民保健サービス)、ソニー、PepsiCo(ペプシコ)、Bain & Company(ベイン&カンパニー)などをはじめとする1500社以上の顧客を獲得したという。 このたびTestGorillaは、SaaS専門のVCであるNotion Capitalが主導し、Partech、Jeff Weiner(ジェフ・ワイナー)氏のNext Play Ventures、Indeed(インディード)の共同創業者であるPaul Forster(ポール・フォレスター)氏、Peakon(ピーコン)の共同創業者であるPhil Chambers(フィル・チェンバース)氏、Justworks(ジャストワーク)の共同創業者であるIsaac Oates(アイザック・オーツ)氏らが参加したシード資金調達ラウンドで、1000万ドル(約11億2000万円)を調達した。
3-3. 自分たちの原体験と照らし合わせる
- TestGorillaが向き合っている課題への共感度合いを確認(≒HeaRの原体験がどれほど強いか)
- リリースに伴って書いた記事にも、HeaRの原体験を記載しています
実はHeaR自身も意思決定の課題で悩まされていました。 お恥ずかしいエピソードばかりですが、何かの気づきになればと思いご紹介させていただきます。 (略) もうお分かりだと思いますが、スキルのミスマッチが発生しました。 弊社基準のアウトプットに達するまでのコミュニケーションに多くのエネルギーを費やすことになったのです。 しかし時すでに遅し。月額◯◯万円を複数月で結んでいました。 副業や業務委託の採用はスキルの比重が大きい場合が多いので、現在はジョブテストを通して事前にスキルレベルを定量化しています。
- 弊社自身の課題意識が強い領域だったので、次のステップに移りました
3-4. TestGoriilaさんを調べる
- 概要
- 同サービスが用意した165種類のテストを用いて、求職者のスキルフィットを確認できる
- テストは選択形式が主
- 自由回答形式、ファイルアップロード形式、動画撮影形式もある
- オリジナル質問も追加可能(有料プラン)
- TestGorillaさんのカテゴリおよびテスト例
- 性格診断
- エニグラム
- Big5
- DISC
- ポータブルスキル診断
- コミュニケーションスキル
- マネジメントスキル
- 注意力
- テクニカルスキル診断
- SEO
- SNS運用
- UI/UX
- ツール習熟度診断
- Salesforce
- Hubspot
- Shopify
- コーディングテスト
- 各言語
- 語学力テスト
- 各言語
- 上記のカテゴリのなかで、HeaRがやる場合の優先順位をつける
- ×:性格診断(国内にプレイヤーが十分にいるため、そもそも作らない)
- △:ポータブルスキル診断(正解を出しづらいため、後回し)
- ◯:テクニカルスキル診断
- ◯:ツール習熟度診断
- △:コーディングテスト診断(国内にプレイヤーが十分にいるため、後回し)
- △:語学力診断(グローバル企業や外国人採用は全体のパイからすると少ないため、後回し)
3-5. 資料とワイヤーフレームだけつくって顧客の声を聞く
いくつかの仮説ができたので、実際に顧客に当ててみて検証しました
- 資料7枚程度とFigmaでつくったワイヤーフレームをもとに商談に臨む
- 採用コンサルティング事業を2年半近く運営していたので、フラットなヒアリングを実現
- 友人・知人だと本気のフィードバックをいただきづらい
- 半分程度の顧客からポジティブな反応をいただく
SPIを使っているけど、回答結果で判断できない。点数が良いから活躍できるわけじゃないし。ジョブテストは実務に落とし込んだテストだから良いね。
うちは採用人数が少ないから、費用対効果が合わないと思います。コンセプトは面白いんですけどね。
知識がないから、エンジニアのジャッジが難しい。採用のためにプログラミングスクール通おうと思ってたけど、代替できそうですね。
- すべての顧客から愛される必要はなく、仮説で定めていたターゲットからの反応を見て事業化を決定
3-6. 事業化→リリース
冒頭でお伝えした通り1月中旬にジョブテストをリリースし、1ヶ月近くで120社近くから問い合わせがありました。
副業マネジメントSaaS→ジョブテストに至るまで様々な課題がありました。
ジョブテストをやると決めてからリリースに至るまでにも様々な課題がありました。
きっとこれからも色々な課題にぶつかるでしょう。
実際にこんな課題が出ています。
- 次に実装する機能の仕様策定
- プロダクトマネジメント方法の統一化・言語化
- グロースの勝ち筋を構築
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カオスな環境下で課題を解決することにワクワクする方、
青春の大人を増やしたい方、是非一度お話しさせてください。